工事工程 3 根切り 建物を支える土台づくりの第一歩 | カクイチ A-SITE
お問合せ
工事工程 3 根切り 建物を支える土台づくりの第一歩

2026.06.29

工事工程 3 根切り 建物を支える土台づくりの第一歩

みなさま、ごきげんよう。
カクイチ A-SITE 伊那インター店でございます。

こちらのブログでは、「倉庫や車庫、どうやって建てていくの?」という疑問について、一つひとつの工程を分かりやすく紐解いてお話ししております。

前回は「② 水盛遣方(みずもりやりかた)」について詳しく解説いたしました。
今回は、それに続く重要な一歩、「③ 根切り(ねぎり)」のお話です。その前に、まずは大切なポイントを少しだけ復習しておきましょう!

前回の復習:工事工程 ② 水盛遣方

「水盛遣方」とは、2つの重要な作業を組み合わせた工程です。
水盛(みずもり):建物の「高さ」を水平に正しく決める作業。
遣方(やりかた):建物の「通り芯(中心線)」を図面通りに正確に決める作業。
前回の工程で、木の枠を組んで、これから建物を建てる位置を「バシッ」と完璧に決定しました。

工事工程 ③ 根切り(ねぎり)とは?

建物を支えるための「スペース作り」

「根切り」とは、一言で言えば「建物の基礎を造るために、地面を掘る作業」のことです。

まっさらな地面の上にいきなりコンクリートを流し込むわけではありません。建物をしっかりと地面に固定し、安定させるための「根(基礎)」を地中にしっかりと埋め込む必要があり、そのための空間(スペース)を確保するために掘削を行います。

建物は常に、台風の猛烈な風や、地震による強い揺れなどによって、「傾く」「倒れる」「地面から引き抜かれる」といった巨大なエネルギー(外力)にさらされています。これらに抵抗し、建物を安全に守るためには、地中に頑丈なコンクリートの塊(基礎)を造り、建物と地盤を完全に一体化させなければならないのです。

なぜ「根切り」? 名前の面白い由来

土を掘る作業なのに、なぜ「根を切る」と書くのでしょうか? その理由は、建築の歴史に深く関係しています。

まだショベルカーなどの重機が存在しなかった時代、建物を建てるために職人たちは、鍬(くわ)や鶴嘴(つるはし)を使って、すべて人力で土を掘り進めていました。地中深くを掘っていくと、そこには「本物の木の根っこ」が立ちはだかりました。

職人たちは、その頑丈な根っこに行く手を阻まれるたび、斧(おの)や鋸(のこぎり)を使って一本一本「伐りながら」掘り進めていたのです。この「地中の根を伐る過酷な苦労」がそのまま作業名となり、現代でも建築の正式な専門用語(根切り・根伐り)として脈々と受け継がれています。

基礎の形状に合わせた「3つの掘り方」

建物の規模や基礎の設計(形状)に合わせて、根切りのアプローチも主に3つのパターンに分かれます。

① 全面を掘る「総掘り(そうぼり)」(別名:べた掘り)

建物の下の敷地全体を、まるごと四角く均一に掘る方法です(現場では職人さんによって「そうぐり」と呼ばれることもあります)。
これは最近の主流である「べた基礎」を造る際に用いられます。現代の木造住宅や、私たちの軽量鉄骨倉庫でも広く採用されており、地面からの湿気を防ぎつつ、建物の重さを「面」全体で効率よく分散して支える特徴があります。

② 線で掘る「布掘り(ぬのぼり)」

基礎を配置する部分だけを、溝のように細長く線に沿って掘る方法です(現場では「ぬのぐり」と呼ばれることもあります)。
主に「布基礎」を施工する際に使われます。建物の間取りや「壁のライン」に沿って、まるで地中に迷路を掘り進めていくようなイメージの作業です。

③ 点で掘る「つぼ掘り」

柱が立ち上がる特定のスポットだけを、ピンポイントで深く掘る方法です(現場では「つぼぐり」と呼ばれることもあります)。
独立した柱を支える「独立基礎」を造る際に使われます。巨大な倉庫の主要な柱や、カーポート、フェンスの支柱など、特定の「点」に強い荷重が集中する場所に最適な工法です。

掘り返した土はどうなる?「残土(ざんど)」の行方

根切りを行うと、地面から掘り返された大量の土(残土)が発生します。この土の一部は、基礎が完成した後に、基礎の周りの隙間を埋める「埋め戻し」の作業に再び使用されます。

ここで知っておきたいのが土の性質です。土には、「一度掘り起こすと、空気を含んで体積が約1.2倍〜1.4倍に膨らむ」という物理的な特性(土のほぐれ率)があります。そのため、元の穴を埋め戻しても、想像以上に大量の土が余ってしまいます。

これらはトラック等で搬出し、法令に基づいて適切な処分場へ運んで処分します。※御見積書に記載されている「残土処分費」は、この適正処理のために必要な費用にあたります。

見えなくなる場所だからこそ、チームの技術で守る

綺麗に掘り終わった底面のことを、建築専門用語で「根切り底(ねぎりぞこ)」と呼びます。次の工程へ進む前に、「設計図通りの深さまで正確に掘られているか」「土砂が崩れてこないよう適切な対策がなされているか」を、プロの目で確認(検測)します。

地球の土は、物理的に「一度でも掘り起こして乱してしまうと、元の均一な固さ(地盤強度)には戻りきらない」という繊細な性質(土質力学における攪乱と不可逆性)を持っています。だからこそ、プロの建築士や職人たちは緻密に連携し、設計図に示された深さぴったりでピタッと正確に重機を止めるのです。

「浅すぎてもダメ、深すぎてもダメ」。建築とは、自然の地盤の性質を読み解き、設計通りに正確に調和させていく非常にデリケートな仕事です。

掘り終わったら、硬い「ベッド」を整える

決められた深さまで掘り進め、美しい「根切り底」が姿を現したら、根切りの工程は無事に完了です。

一見すると、ただ地面を掘るだけのシンプルな作業に見えるかもしれません。しかし「根切り」は、これから誕生する建物を何十年にもわたって安全に、しっかりと支え続けるための、非常に大切な第一歩なのです。完成すると隠れて見えなくなってしまう部分だからこそ、私たちは一つひとつの工程を極めて丁寧に積み重ねています。

【建築・工事工程シリーズ 次回予告】

次回の工程は、掘り出した底面に「砕石(さいせき)」という細かい石を敷き詰め、機械でカチカチに締め固める「転圧(てんあつ)」という作業に移ります。建物の重さをしっかり受け止めるための、強固なベッド(路盤)作りの詳細をお届けします。

次回 第4回:「地業工事(じぎょうこうじ)〜基礎の沈下を防ぐ砕石敷きと転圧〜」

どうぞお付き合いくださいませ。

本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

それではみなさま、ごきげんよう。

ブログ一覧を見る 店舗ページTOP