2026.07.11
工事工程 4 地業工事 なぜスニーカーは歩きやすいの?建物も同じです
前回の工程では、建物の基礎部分を作るためのスペースを地面に掘りました。
建物と地盤を完全に一体化させるための、大切な「スペース作り」のお話でしたね。
みなさま、ごきげんよう。
カクイチA-SITE伊那インター店でございます。
こちらのブログでは、
「倉庫や車庫、どうやって建てていくの?」
という疑問について、一つひとつの工程を分かりやすく紐解いております。
今回は、いよいよ基礎を支える大事なクッション、
「4. 地業(じぎょう)工事」のお話です。
建物は、地面に直接建っているわけではありません。
地面の下には、このような隠れた主役たちいます。
- 上: 倉庫(主役)
- 中: コンクリートの基礎(強固な土台)
- 下: 地業工事(最強の下地) ←ココが今回の主役!
- 底: 地盤
工事工程 ④ 地業(じぎょう)工事とは?
地面の上に直接コンクリートを流すと、建物の重みで沈んでしまいます。
だから、地盤と基礎の間に「建物を支える丈夫な石の層」を挟みます。
(1) なぜ「砕石(さいせき)」を使うの?
川にあるような「丸い石」は、上から重さがかかるとツルツル滑って逃げてしまいます。それは、石同士の「摩擦(まさつ)」が足りないからです。
ビー玉の上には立てませんが、レゴブロックの上なら安定して立てるのと同じです。
そこで、工事では角が尖った「砕石(さいせき)」を使います。
角と角がガチッと噛み合うことで、バラバラの石が一体となった「強固な層」のようになり、広い範囲へ分散しながら支えられるようになります。
(2) 転圧(てんあつ)で空気を追い出す
砕石を敷いた状態では、石と石の間にたくさんの「空気の隙間」があります。これがあると、後で建物が乗ったときに隙間が潰れて、建物が傾いてしまいます。
そのため、専用の重機で石の密度を極限まで高め、カチカチに締め固めます。
- ランマー: 縦にダダダッと叩いて、狭い場所を固める。(点に衝撃を集中させる)
- プレート: ブルブル震えて、広い場所を平らに固める。(面で振動を広げる)
(3) 水が手助けする秘密:最適含水比(さいてきがんすいひ)
実は、締め固めでは、地盤や材料の状態によって「ちょうどいい水分」が必要になる場合があります。乾きすぎていても、水が多すぎても固まりません。
砂浜で少し湿った砂の方が砂のお城を作りやすいのと同じです。
石たちが一番奥の隙間までピシッと収まるのを手助けして、一番隙間のない、もっとも密度の高い状態(最大乾燥密度)にするために最も適した水分の割合を「最適含水比」と言います。
(4) 重さを広げる科学:応力分散(おうりょくぶんさん)
局所的な強い力(点)を、広い面積(面)に変える科学、それが「応力分散(おうりょくぶんさん)」です。
ハイヒールで踏まれると激痛ですが、スニーカーなら痛くないですよね。
もし、倉庫を支える「太い柱」の重さをそのまま土に伝えるとどうなるでしょう?
とてつもない重さが1点に集中し、まるでハイヒールの「かかと」のように、柱が地面にズブズブと突き刺さって建物が傾いてしまいます。
そこで登場するのが、柱の下に敷き詰める「砕石(さいせき)」の層です。
柱からドスンと伝わってきた重さは、砕石の層に入った瞬間、無数の石同士がガチッと噛み合うことで、斜め下の石へとドミノ倒しのように枝分かれしていきます。
こうして、1本の柱の重さが「扇形」に大きく広がって、地面に優しく伝わるのです。
砕石の層は、建物の重さをフワッと広げて地面を守る「巨大なスニーカーのソール」のような役割をしています。
地味に見える地面の下の石ころは、柱の突き刺し攻撃から建物を守る、科学的でスマートなクッションなのです。
(5) 手抜きをすると起きる「不同沈下(ふどうちんか)」
この地業工事を怠ると、地面が均一に沈むのではなく、右だけ沈む、左だけ沈むということが起きます。これを「不同沈下(ふどうちんか)」と呼びます。
建物が斜めに傾いて、建物全体に大きな負担がかかります。
そうならないために、私たちは現場で以下のポイントを徹底的にチェックしています。
- 足裏センサー: 大人が歩いても足跡がつかないくらい「カチカチ」になっているか?
- 異物チェック: 石の中に、将来腐って空洞の原因になる「木くず」や「ゴミ」が混ざっていないか?
(6) 防湿シートの役割:毛細管現象(もうさいかんげんしょう)の分断
地業工事の後、防湿シートを敷き、湿気対策を行います。
防湿シートは、湿気が上がるのを防ぎ、基礎を長持ちさせます。
① 地面の中の水分と毛細管現象
地面の中の水分は、土の細かな隙間を通って、じわじわと上へ移動しようとします。ストローをコップの水に挿すと、吸わなくても水が少し上がってきますよね。土の隙間も小さなストローと同じで、水分がどんどん上に吸い上がってきます(毛細管現象)。
砕石の層は、土に比べて石の隙間が大きいため、この水分が吸い上がる現象を途中で分断(縁切り)する効果があります。
② 防湿シートによるシャットアウト
さらに、その上に敷く「防湿シート」は、水の分子を物理的にシャットアウトする膜です。
地面からの余計な湿気(水蒸気)を遮断することで、鉄筋が錆びる原因の一つを抑えて建物の長寿命化に役立っています。
次回の工程は、しっかりと締め固めた路盤(基礎のベッド)の上に、薄いコンクリートを流し込む「5. 捨てコンクリート」のお話をしたいと思います。
コンクリートを捨てる……??? 捨てるような、捨てないような、そんな不思議なコンクリートのお話です。
どうぞお付き合いくださいませ。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それではみなさま、ごきげんよう。